スマートロッカーとは? 店舗&配送&顧客、三方よしの次世代ソリューション
スマートロッカーとは、物理的な鍵の代わりに、QRコードなどの電子鍵を使用して解錠できるロッカーのことです。「IoTロッカー」や「インテリジェンスロッカー」などと呼ばれることもあります。
例えばオンライン通販で注文した商品を自宅最寄駅やコンビニエンスストアに設置されたロッカーで受け取ることが可能になります。
マンションなどに設置している「宅配ボックス」とは異なり、時や場所を選ばずに使える点がメリットです。出張先など自宅以外で商品を受け取りたい場合など、多様なニーズに応えるために生まれたソリューションです。
コインロッカーのように物理的な鍵が不要なため、ユーザーのメールやアプリに鍵となるQRコードや暗証番号を送信することで、非対面で商品の受け渡しが可能です。
本記事では、最新の配送ソリューションとして注目されている「スマートロッカー」のメリットや導入方法、技術的な特徴、将来の展望について解説します。
スマートロッカーのメリット
スマートロッカーは、「顧客」「店舗」「配送業者」のそれぞれにとってメリットがあります。それぞれの立場でスマートロッカーの利点を見ていきましょう。
例えばネット通販で商品を買うシーンを考えると、以下のようなメリットがあります。
- 顧客:在宅時間を気にせず受け取れる。外出先でも受け取れる。
- ロッカー設置店舗:顧客への受け渡しの手間がなくなる。
- 配送業者:再配達の手間やコストがなくなる。
それぞれ詳しく見ていきます。
顧客にとってのメリット
スマートロッカーは、顧客にとっては以下のようなメリットがあります。
- 非対面での受け取り
- 24時間利用可能
- 自宅以外での受け取り
スマートロッカーの利点の一つは、顧客が他人と直接接触することなく商品を受け取れる点です。特にコロナ禍においては、感染リスクを避けるために「非対面」「非接触」で受け取れることの重要性が増しました。
さらに、スマートロッカーは24時間利用できるため、顧客は自分の都合に合わせて好きな時間に商品を受け取ることができます。これにより、日中の忙しい時間帯に無理をして受け取りに行く必要がなくなります。
また、外出先など自宅以外でも受け取れる点もメリットになります。例えば友人宅に訪問するとき、持ち歩きがしにくいものを先に送っておき、現地のコンビニや駅のロッカーで受け取るということが可能です。
店舗にとってのメリット
スマートロッカーを設置する店舗にとってのメリットは以下の通りです。
- 業務効率の向上
- 顧客満足度の向上
- スペースの有効活用
従来、対面での宅配便の受け渡しは、従業員にとって大きな負担でした。しかし、スマートロッカーを利用することで、店舗スタッフが個別に顧客に対応する必要がなくなり、店舗運営のメイン業務に集中できるようになります。
接客サービスの質が向上し、店舗を利用する顧客の満足度も高まるでしょう。
さらに、スマートロッカーを商品の保管場所として活用することで、店舗内のスペースを有効に使うことができます。
配送事業者にとってのメリット
店舗に荷物を届ける配送事業者にとっても、スマートロッカーによる恩恵は多くあります。
- 再配達の削減
- 配送コストの削減
- 顧客満足度の向上
宅配便の再配達率は1割以上に達するといわれ、配送事業者にとって大きな負担となっています。スマートロッカーを利用することで、再配達を減少させ、配送効率を大幅に向上させることが期待できます。
再配達の減少により、配送コストを削減することができ、これは配送業者にとって大きなメリットとなります。さらに、サービスの質が向上し、顧客満足度も高まります。この結果、配送業者の信頼性が向上し、長期的な顧客関係の構築につながります。
スマートロッカー導入事例
スマートロッカーは、さまざまな形で普及が進んでいます。
ここでは、「鉄道」「コンビニ」「薬局」のそれぞれの分野での導入事例を紹介します。
トレくる(鉄道)
「トレくる」は、京王線沿線の店舗の商品をLINEで注文し、最短当日に各駅で受け取れるというサービスです。
沿線にある店舗から厳選された100点以上の商品から注文し、最短で当日中に京王線内の専用ロッカーで受け取ることができます。
ネットで買い物をして、仕事帰りに自宅最寄駅で商品を受け取れるという利便性が受けています。
ファミロッカー(コンビニ)
ファミリーマートが提供する「ファミロッカー」は、レジを介さずに荷物の発送・受け取りができるスマートロッカーサービスです。
ファミリーマートは、2023年10月からスマートロッカー(ファミロッカー)サービスの実証実験を開始しています。
利用者は、配送事業者やEC事業者、フリマサイトなどが発行した二次元コードをロッカーにかざすだけで、発送と受け取りが可能です。
処方薬受取りロッカー(薬局)
薬局やドラッグストアで普及が進む「お薬受取りロッカー」は、非対面で処方薬を受け取ることができるサービスです。
患者が医師から発行された処方箋をインターネットで登録すると、薬局側がその処方箋を基に薬を調合します。調合された薬は薬局に設置されたスマートロッカーに格納され、患者は都合の良い時間に薬を受け取ることが可能です。
スマートロッカーの導入方法
スマートロッカーを導入する際には、ロッカーの筐体以外にもさまざまな要素が必要です。
すべての要素を統合的に組み合わせ、「仕組み」として機能させなければならないため、意外にハードルは高くなります。
以下に一般的な例を挙げますので、貴社の例に当てはめながらご覧ください。
ロッカー自体の機能
スマートロッカーの筐体は多数の製品がありますが、自社で扱う商品やサービスにより重視する点は異なります。
- セキュリティ機能
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ロッカーの安全性を確保するための機能です。盗難防止や不正アクセスを防ぐための技術が含まれます。高額商品を扱うためには必須の機能です。
- 温度管理
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ロッカー庫内の温度を一定に保つ機能です。特に温度に敏感な商品の保管に必要です。
- 庫内管理(空き時間管理)
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ロッカーの利用可能な時間帯や空き状況を管理するセンサーやシステムです。利用者が多く、商品の出し入れが頻繁に行われる場合に重視したい機能です。
上記の要素の中から、自社に合うものを選んでいく必要があります。
設置場所の設備
スマートロッカーを設置する場所にも、最低限必要なものがあります。
- 電源設備
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ロッカーが正常に動作するために必要な電力を供給する設備です。停電時のバックアップ電源も考慮されます。
- ネットワークインフラ
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スマートロッカーがインターネットに接続され、データの送受信が可能になる仕組みです。安定したネットワークインフラが必要です。
配送事業者
ロッカーへの商品配送のためには、配送事業者との連携も必要になります。
既存の配送事業者とのアライアンスをするか、自社で配送ネットワークを構築するなどの仕組みを作らなければなりません。
効率的な配送を行うためには、配送ルートの最適化や配達の進捗を管理するシステムも必要です。
エンドユーザー向けの機能
ロッカーを利用するユーザー向けの機能も非常に重要です。
- ユーザーインターフェース
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利用者がロッカーを操作するためのわかりやすいインターフェースも必要です。モバイルアプリやLINEのミニアプリなどを利用するケースが多いです。
- メンテナンスサービス
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ロッカーの保守・点検を行うためのサービスです。定期的なメンテナンスやトラブル発生時の対応が含まれます。
ソフトウェアシステム
オーダー、配送、店舗からの出荷、受け取りなどを統合管理するためのソフトウェアが必要になります。
ECの場合には、事例で挙げた「トレくる」のように、購入した商品の受け取りに利用する場合には、ECシステムとの連携も必要です。
ここまで解説してきた機能を、自社のビジネスに合わせて取捨選択し、設計をしなければなりません。
「考えることが多すぎて心が折れそう」という方もご安心ください。私たちマネーパートナーズソリューションがお役に立てます。
マネーパートナーズソリューションズは、前述の「トレくる」において、システム導入支援に携わっております。
マネーパートナーズグループとして、金融領域でのシステム開発で培った知見を活かして、必ず貴社のお力になれるはずです。お困りの方は、以下のフォームからお問い合わせください。
まとめ:スマートロッカーの課題と展望
スマートロッカーの現状の課題は、なりすましによる受け取りです。
QRコードさえ持っていれば誰でも受け取りが可能なため、高価な商品やクレジットカードなどの貴重品を送るにはリスクが高いといえます。顔認証やワンタイムパスワードなどの多要素認証を活用するものもありますが、より確実に本人認証ができる仕組みも必要です。
将来的に期待されるのは、「デジタルID」の活用です。デジタルIDは世界的に導入が推進される本人認証の仕組みです。「デジタルIDウォレット」に各種身分証明書を格納することで、必要な時に必要なデータのみを使い認証を行います。
仕組みとして整っているとは言い難いですが、「マイナンバーカード」のように、一部の機能はすでにデジタル化され、公的書類の発行などに利用されています。
デジタルIDウォレットの仕組みが一般化すれば、スマートロッカーが抱える「なりすまし」の問題も解消に近づくはずです。
デジタルIDウォレットについては、詳しく解説した記事もありますので、以下もあわせてご覧ください。